自分に合った方法を
病院と相談して決めましょう。
2014年に、当該年度に65、70、75、80、85、90、95歳になる人と100歳になる人、および60歳から65歳未満で肺炎球菌感染のリスクとなる疾患を持つ人を対象に23価ワクチンの定期接種が始まりました。
この定期接種は2023年度まで継続される予定です。
定期接種とは、予防接種法に基づいて自治体が接種するワクチンのことで、行政からの助成が受けられます。
23価ワクチンは定期接種で1回受けることができます。全国の65歳以上の23価ワクチンの接種率は、2013年には18%でしたが、 2016 年の全国調査では65歳の平均接種率は40.8%になったと報告されています *。 しかし、まだ充分とは言えません。
一方、13価ワクチンは、肺炎球菌の成分にジフテリアトキソイドという蛋白を結合させることにより効果を高めたワクチンで、免疫機能が未発達な小児でも効果を表すことから、2013年に小児を対象として肺炎球菌感染症予防のための定期接種が始まりました。
その後2014年に13価ワクチンは65歳以上の人に対して任意接種(自己負担)が承認され、2020年5月には、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる人へも承認の範囲が広がりました。
定期接種と任意接種
定期接種 | 予防接種法により国民に一定の年齢枠で接種努力義務が課せられているワクチン 行政からの助成あり |
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任意接種 | 定期接種と臨時接種(痘瘡およびH5N1インフルエンザ)以外のワクチン 自己負担あるいは一部助成 |
肺炎球菌には90種類以上の異なるタイプ(血清型)がありますが、23価ワクチンは23種類、13価ワクチンは13種類の血清型の肺炎球菌感染症を予防します。
2つのワクチンにはそれぞれに利点と欠点があります。
23価ワクチンは幅広い血清型の肺炎球菌に対応でき、対象年齢であれば補助を受けて接種することができます。しかし、23価ワクチンは免疫効果が13価ワクチンに比べて弱く持続が短いと考えられます。
一方、13価ワクチンはジフテリアトキソイドを結合させたことにより、長い期間高い免疫効果が望めます。しかし、対応できる血清型は23価ワクチンより少なく、現在接種に補助は受けられません。
2つのワクチンを組み合わせて接種することや再接種について検討が行われ、日本感染症学会と日本呼吸器学会は、年齢や以前に受けたワクチン接種別に分けたフローチャートを用いて、推奨するワクチン接種のスケジュールを示しています。
リスクをもつ人に対する接種スケジュールなども検討されています。
2種類のワクチンの違い
23価ワクチン | 13価ワクチン | |
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長所 |
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短所 |
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推奨されるワクチン接種の
スケジュール
65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(2017年10月)
(日本感染症学会/日本呼吸器学会 合同委員会)
肺炎は、高齢者にとって怖い病気ですから、予防することが重要です。肺炎球菌についてはワクチンがあることを知っていただき、効果的な予防をお勧めします。
一方、少数ですが、現在使われているワクチンでは対応できない血清型の肺炎球菌感染症が割合を増してきていることが報告されているため、そのような菌にも有効なワクチンの研究が進められています。また、肺炎球菌以外の微生物が原因となる肺炎に対する予防も今後の課題です。
国際医療福祉大学 松本 哲哉