治療と予防治療と予防

ワクチンは一回打ったらもう大丈夫?

充分な免疫を得るために、
再接種や2種類を組み合わせた接種が推奨されます

23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンによる免疫の効果は5年以上続くと考えられていますが、その後弱まっていきます。5年以上経過したら、再接種が推奨されています。

また、15価結合型ワクチンを接種した後1年が過ぎたら、より広い(血清)型の肺炎球菌に対応する23価ワクチンを接種するとブースター効果により効果が高まります。

2つのワクチンを組み合わせて接種することや再接種について検討が行われ、日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の合同委員会は、年齢や以前に受けたワクチン接種別に分けたフローチャートを用いて、推奨するワクチン接種のスケジュールを示しています。

リスクをもつ人に対する接種スケジュールなども検討されています。合同委員会は、基礎疾患を持つ人や免疫不全者など、ハイリスク者においては15価結合型-23価莢膜ポリサッカライドワクチン連続接種または 20価結合型ワクチンの接種を推奨しています。

65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方

65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6版)
(日本呼吸器学会、日本感染症学会、日本ワクチン学会の合同委員会)より

PPSV23: 23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン

PCV15: 15価肺炎球菌結合型ワクチン

PCV20:20価肺炎球菌結合型ワクチン

おわりに

肺炎は、高齢者にとって怖い病気ですから、予防することが重要です。肺炎球菌についてはワクチンがあることを知っていただき、効果的な予防をお勧めします。

一方、現在使われているワクチンでは対応できない血清型の肺炎球菌感染症が割合を増してきていることが報告されているため、そのような菌にも有効なワクチンの研究が進められています。また、肺炎球菌以外の微生物が原因となる肺炎に対する予防も今後の課題です。

文責:東京医科大学 宮崎 治子

国際医療福祉大学 松本 哲哉

最終更新日:2024年10月23日