肺炎球菌は、唾液に含まれて飛沫感染し、ヒトが鼻や喉に持っていても病気を起こさないことが多いのですが、時に肺炎や中耳炎を引き起こします。
名前が示す通り、通常の社会生活を送っている人に起こる肺炎で最も多く検出される細菌が肺炎球菌です。菌がさらに血液や脳脊髄液の中に侵入すると、敗血症や髄膜炎という重篤な状態となります。
痰などを染色して顕微鏡で観察すると、肺炎球菌は特徴的な形をしています。
培養検査によって診断をします。
また、尿の検査で肺炎球菌抗原(菌成分)を検出する迅速診断法も使われます。
治療にはペニシリン系の薬剤が使われますが、肺炎球菌の一部にはペニシリンが効きにくい菌があり、ペニシリン耐性菌として問題となっています。
この場合、薬剤感受性試験(培養された微生物に薬剤が有効かどうかを判定する検査)の結果をみて、効果のある治療薬への変更が必要となる場合もあります。
通常の生活をしている人に起こる肺炎の原因菌
日本呼吸器学会 成人肺炎診療ガイドライン2017 p10
国内9研究(市中肺炎3,077症例)、上位10病原微生物微生物
(メタアナリシスにより95%信頼区間を追加)
国際医療福祉大学 松本 哲哉